STPはマーケティング戦略の基本となるフレームワークです。本記事では「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の意味や違いを、具体例を交えながら初心者にもわかりやすく解説します。ブランド戦略や4Pとの関係も理解できる内容です。
「STP」という言葉を聞いたことはあるものの、「実際には何をするの?」「4Pとはどう違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
STPは、マーケティング戦略を立てるうえで欠かせないフレームワークです。どんなに優れた商品でも、「誰に売るのか」が明確でなければ、お客様には選ばれません。
この記事では、STPの基本的な考え方から、ポジショニングの重要性、実際の企業事例までを初心者にもわかりやすく解説します。
STPとは?
STPとは、マーケティング戦略を策定する際に用いられるフレームワークで、以下3つのプロセスの頭文字を取ったものです。
- S:Segmentation(セグメンテーション)…市場を細分化する
- T:Targeting(ターゲティング)…狙う市場を決める
- P:Positioning(ポジショニング)…競合との差別化を図る
STPは「誰に、どのような価値を提供するのか」を明確にするための考え方であり、その後のマーケティング施策(4P)の土台となります。
STPとマーケティング戦略の流れ
企業理念・経営目標
↓
マーケティング目標
↓
STP
(市場を分ける・狙う市場を決める・差別化する)
↓
4P(製品・価格・流通・プロモーション)
↓
売上・利益
つまり、「誰に売るか」が決まってから、「何を」「いくらで」「どこで」「どう伝えるか」を考えるのです。
セグメンテーション(Segmentation)とは?
セグメンテーションとは、市場全体を共通の特徴を持つグループに分けることです。
同じ商品でも、すべての人が同じ理由で購入するわけではありません。
例えばコーヒー市場を考えてみましょう。
| 分類基準 | セグメント例 |
|---|---|
| 年齢 | 20代・30代・50代以上 |
| ライフスタイル | 仕事中・休日・自宅 |
| 価格志向 | 安さ重視・品質重視 |
| 利用シーン | コンビニ・カフェ・自宅 |
市場を細かく分類することで、それぞれのニーズが見えてきます。
セグメンテーションの例
例えばスポーツシューズ市場なら、
- ランニングを楽しみたい人
- 本格的なマラソン選手
- 普段履きとして使いたい人
では、求める商品がまったく異なります。
まず市場を分けることが、マーケティング戦略の第一歩です。
ターゲティング(Targeting)とは?
市場を細分化したら、その中から自社が最も価値を提供できる市場を選びます。
これがターゲティングです。
すべての人をターゲットにすると、商品やメッセージが曖昧になり、結果として誰にも響かなくなってしまいます。
コーヒーチェーンのターゲット比較
| ブランド | ターゲット |
|---|---|
| スターバックス | 空間や体験を重視する人 |
| ドトール | 手軽さを求める会社員 |
| セブンカフェ | 安くて早いコーヒーを求める人 |
同じコーヒーを販売していても、狙っている顧客層は大きく異なります。
ポジショニング(Positioning)とは?
STPの中でも特に重要なのが「ポジショニング」です。
マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーは、ポジショニングを次のように定義しています。
ターゲットとなる顧客の心の中で、独特で価値ある地位を占めることができるよう、企業の提供物やイメージをデザインする行為。
簡単に言えば、
「○○ならこのブランド」と思い浮かべてもらうことです。
ポジショニングを映画館の席で考える
ポジショニングは「映画館の席取り」に例えると理解しやすくなります。
市場にはさまざまなブランドが存在しています。
もし全員が同じ席に座ろうとすると、価格競争しか起こりません。
一方で、競合がまだ座っていない席を見つけられれば、そのブランド独自の価値になります。
例えばコーヒー市場では、
| ブランド | ポジション |
|---|---|
| スターバックス | 高品質・空間価値 |
| ドトール | 手軽さ・利便性 |
| セブンカフェ | 低価格・手軽さ |
それぞれ異なる価値を提供しているため、共存できているのです。
ポジショニング・ステートメントとは?
ポジショニングを文章で表現したものを「ポジショニング・ステートメント」と呼びます。
基本形は次のとおりです。
ブランド○○は、(ターゲット)にとって、(差別化ポイント)を提供する、(製品カテゴリー)のブランドである。
スターバックスの例
スターバックスは、仕事や勉強を快適に行いたい人にとって、高品質なコーヒーと居心地の良い空間を提供するカフェブランドである。
ユニクロの例
ユニクロは、品質と価格のバランスを重視する人にとって、高品質で機能性の高いカジュアルウェアを手頃な価格で提供するブランドである。
このように文章化することで、自社のブランド価値が明確になります。
STPと4Pの関係
STPで方向性が決まった後に、具体的なマーケティング施策である4Pを設計します。
| STP | 4P |
|---|---|
| 誰に売るかを決める | 何を・いくらで・どこで・どう伝えるかを決める |
4Pとは、
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販売促進)
の4つを指します。
STPが戦略であるのに対し、4Pはその戦略を実行するための具体策と言えるでしょう。
STPを活用するメリット
STPを活用することで、企業は次のようなメリットを得られます。
- 顧客ニーズを正確に把握できる
- 競合との差別化がしやすくなる
- 広告や販促の効果が高まる
- 商品開発の方向性が明確になる
- 限られた経営資源を効率的に活用できる
特に競争が激しい市場では、「誰にでも売る」のではなく、「誰に最も価値を届けるか」を考えることが重要です。
まとめ
STPは、マーケティング戦略を考えるうえで最も基本となるフレームワークです。
市場を細分化し(Segmentation)、狙う市場を決め(Targeting)、競合との差別化を図る(Positioning)ことで、自社ならではの価値を明確にできます。
その後に4Pを設計することで、一貫性のあるマーケティング戦略が完成します。
商品やサービスが溢れる現代では、「良い商品を作ること」だけでは十分ではありません。「誰に、どのような価値を届けるのか」を明確にするSTPは、企業の競争力を高めるために欠かせない考え方と言えるでしょう。
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