ユナイテッドアローズと茨城県境町の連携は、ファッション業界と自治体が手を組んだ革新的な地方創生モデルです。セレクトショップの編集力と地域資源が交差するこの試みは、まちづくりの未来を切り拓くヒントに満ちています。
地方創生の新しいかたち:ファッションと行政の共創
2024年、セレクトショップの草分けであるユナイテッドアローズ(UA)は、茨城県境町と包括連携パートナーシップを締結しました。目的は、UAの持つ「セレクト編集力」や商品開発、販促ノウハウを活かし、境町の魅力を全国に発信すること。
この取り組みは、「まちの応援団」としての企業の関わり方を再定義し、地方創生における民間企業の役割を拡張しています。
境町とは?注目される地方都市の魅力
東京都心から車で約1時間半。境町はアクセスの良さに加え、以下の点で全国的に注目を集めています。
- ふるさと納税額関東7年連続1位
- 「子育て支援日本一」を掲げた政策
- 自動運転バスなど先進技術の導入
- 移住者数の増加と快適な住宅環境
地方の“未来型”モデルケースともいえる町です。
コラボレーションの具体的施策
このパートナーシップでは、さまざまな角度から地域活性を図る取り組みが展開されています。以下に主な施策を紹介します。
1. 「ユナイテッドアローズ スタンド」の設置
- 場所:道の駅さかい
- 建築デザインは建築家・隈研吾氏
- オリジナルフード・ドリンク(例:梅山豚プロシュートサンド、さしま茶クラフトコーラ)
- 移動式店舗として全国巡回も予定
2. 境町の魅力を活かしたオリジナルグッズ販売
- 地元出身アーティスト内海聖史氏のアートをデザインに採用
- トートバッグやロングスリーブTシャツなどを限定販売
3. 地場産業と連携した返礼品の開発
- 地元ブルワリー・酒造と共同開発
- 商品例:
- 「干し芋ブリュレスタウト」
- 「TOKUMASAMUNE Lab. sweet / sour」(地元米使用の日本酒)
4. 教育や福祉領域へのデザイン提供
- 小中学校の体操服デザインをUAが監修
- 軽井沢町民保養施設の内装デザイン監修
5. 地域の交通手段もブランディング
- 自動運転バスや高速バスにUAと境町の共同ラッピングデザイン
デザインの力で地方をアップデート
このプロジェクトでは、単なる「物の販売」に留まらず、町のブランディング、観光誘致、教育支援、移住促進といった多面的なアプローチが展開されています。
UAが法人向けに展開する「PRODUCED by UNITED ARROWS」の知見を応用することで、境町の地域資源がより洗練された形で世に伝えられています。
まとめ:セレクトショップの力が地方を変える
ユナイテッドアローズと境町の連携は、**セレクトショップの「編集力」や「ブランディング力」**が地域振興にどのように活用できるかを示す好例です。
今後は、このモデルが他の地域や業種にも応用され、「地方創生×企業連携」の成功事例として注目されることが期待されます。
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