万野裕人– Author –
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経理はもう「経営の言語化機能」と捉えるべきではないか【第5回】
中小企業におけるCFO人材のリアルな育て方 ――“右腕がいない”構造をどう乗り越えるか ここまで、全4回にわたって「経理からFP&Aへ」「CFO的視座をどう育てるか」「制度と習慣でどう支えるか」を考えてきました。最終回となる今回は、あらためて「CFO人... -
人口減少時代の経営指標──「付加価値労働生産性」の視点から考える
日本社会は、避けがたい人口減少という構造的な変化の中にあります。労働力人口の減少は、特に中小企業にとって大きな制約条件であり、もはや“人手不足”ではなく“人材制約”と呼ぶべきフェーズに突入しています。このような時代において、企業経営者が注視... -
値上げは“価値再定義”の絶好機 ─ 中小企業経営者が問うべき本質
「値上げをすれば、顧客が離れてしまうのではないか」多くの中小企業経営者が、今まさにその不安に向き合っているのではないでしょうか。実際、原材料や人件費の上昇が続く中、価格改定を検討しないわけにはいかない局面が増えています。 一方で、値上げに... -
財務は「守り」から「攻め」へ──カルビーの「ブランド財務部」に見る、経営の進化
企業経営において、財務部門はこれまで「守りの砦」として語られてきました。予算管理、資金繰り、税務対応、リスク管理──これらはもちろん不可欠な機能ですが、それだけにとどまっていては、財務の可能性は限定されてしまいます。 一方で近年、一部の先進... -
「同意なき買収時代」の企業価値とは:ニデックと牧野フライスの攻防から考える
2025年初頭、製造業界において注目を集めたのが、ニデックによる牧野フライス製作所への「同意なき買収」提案でした。提案は最終的に撤回されましたが、この一件は単なるM&A事案の枠を超え、現代の企業経営における本質的な問いを投げかけています。 ... -
経理はもう“経営の言語化機能”と捉えるべきではないか【第4回】
FP&A型経理を組織に定着させるための制度設計 ――「経営を日常にし、AIで思考を拡張する」仕組みづくり ここまで、経理がFP&A的視点を持ち、CFO的な感覚を養っていく流れについて見てきました。しかし、これを個人の資質や努力に依存するだけでは、... -
経理はもう“経営の言語化機能”と捉えるべきではないか【第3回】
CFO的視点の鍛え方 ――数字を超えて「経営全体」を捉えるために FP&A的な視点を持つ経理人材が育つと、「過去を正確に記録する」役割から、「未来を語り、提案する」存在へと成長します。 次なるステージは、CFO的視点を持つことです。すなわち、経営全... -
私的整理ルール変更がもたらす中小企業再生支援の新たな可能性
1. 私的整理ルール変更の概要 このたび、私的整理において「債権者全員の同意」を要件としていた現行ルールを、「多数決」で同意できる方向に変更する検討が進められています。 私的整理は、法的手続を経ずに経営再建を図る重要な手段ですが、全会一致を要... -
経理はもう“経営の言語化機能”と捉えるべきではないか【第2回】
経理を“FP&A”に進化させる視点とスキルセット ――定型処理から仮説と提案へ。経理が未来を語る存在になるために 前回の記事では、AI時代における経理の再定義として、「経理は経営の言語化装置である」という視点をご紹介しました。記録や処理の役割か... -
AI時代のインフラが問う「経営の姿勢」──環境への視座が中小企業にもたらす経済合理性
生成AI、ロボティクス、IoT。私たちの暮らしやビジネスの現場において、AIはもはや「先進的な技術」ではなく、「あって当然の道具」になりつつあります。 しかし、この便利さの裏側には、目を向けるべき大きな前提があります。AIは巨大な電力と、データセ...