万野裕人– Author –
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経営を強くする「自己認知ツール」としての会計そして、その限界を超える“相対化”の視点
ここ最近、オルツやニデックにおける不適切会計の報道が、新聞紙上を賑わせています。上場企業における会計の不正は、当然ながら投資家を欺く重大な問題であり、断じて容認されるべきではありません。 一方で、非上場の中小企業に目を向けてみると、「会計... -
MBA実践録#15──イノベーションによる事業構造改革ーー忘却・借用・学習を“仕組み化”する
イノベーションは「良いアイデア」ではなく、既存の合理性を一度疑い、組織の慣性を乗り越えて、学びを資産化する一連のマネジメントです。本稿では、講義で得た示唆を、実務でそのまま使える骨格に再構成します。キーワードは①組織の文脈と慣性、②ビジネ... -
「やるべきことがやれない」という現象をどう捉えるか——認知✖思考力✖モチベーションの掛け算構造
企業再生の現場に入ると、必ず直面する光景があります。それは「やるべきことがやれていない」という現象です。資金繰りの管理にせよ、顧客対応にせよ、あるいは内部の業務改善にせよ、再生のために必要とされる行動は明確に存在しています。しかし、現実... -
MBA実践録#14─オペレーション戦略─“経営戦略”と“一気通貫でつながる”オペレーション戦略
「QCDを高めましょう」という言葉を聞くことは少なくありません。しかし、この言葉が単なるスローガンに留まってしまっている現場も多くあります。重要なのは、「何のためにQCDを高めるのか?」という問いに立ち返ることです。 今回の「オペレーション戦略... -
ゲームチェンジを翻訳する――中小企業が選ぶべき「小さな一手」
ゲームチェンジとは何か 「ゲームチェンジ」という言葉は、経営戦略の議論でしばしば使われます。文字通り「ゲームのルールが変わる」ことを意味し、単なる環境変化とは異なります。 たとえば、アマゾンは本の流通という既存のルールを覆し、ネット通販の... -
MBA実践録#13──中小企業経営に活きるベンチャーマネジメントTips:変化に挑む組織づくりのヒント集
変化のスピードが日々加速する現代、いかなる企業においても「挑戦する力」が問われています。それは大企業だけでなく、むしろ中小企業こそ求められる視点かもしれません。限られた資源の中でどのように未来を切り拓くのか。そこにこそ、ベンチャーマネジ... -
AIツールは「足し算」ではなく「掛け算」──組み合わせ発想が、思考と経営を進化させる
近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの普及によって、ビジネスにおける「AI活用」が現実的な選択肢として浸透し始めています。特に中小企業の現場においては、「人手が足りない」「情報の整理ができない」「企画を言語化するのが苦手」など、さまざまな経営... -
『MBA実践録#12──ファシリテーション&ネゴシエーション──場を動かす“仕込み力”と“信頼構築”の技法』
ファシリテーションとネゴシエーション──この2つの技術は、単なる会議術や交渉術ではなく、「人と人」「立場と立場」の間にある“ズレ”や“摩擦”を前提に、いかに場を整え、意味のある成果を導くかという対話技法の核心だと感じています。 MBAでの学びは、こ... -
「その部門、稼がせましょう」──コストセンターのプロフィットセンター化という視点
中小企業の経営では、人材・設備・資金のいずれも限られており、すべての部門に直接的な成果を求めることは容易ではありません。売上や利益を生み出す営業部門や製造部門が注目され、管理部門やサポート部門は「必要経費」として扱われることが多いもので... -
MBA実践録#11─パワーと影響力─人を動かす構造と技術
人を動かす──これはビジネスの最前線で常に問われる永遠のテーマです。私はファイナンスや戦略といった「数値や論理で語る世界」に長く携わってきましたが、グロービスの講義「パワーと影響力(PWI)」を通じて、その裏側にある“人の心”を動かすための構造...