万野裕人– Author –
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「社内副業」という選択肢をどう捉えるか― 中小企業のための“人的資本経営”の現実解
先日の日経ビジネスに「社内副業」に関する記事が掲載されていました。人材の多様な能力を引き出し、組織内での越境や学び直しを促す施策として、大企業を中心に導入が進んでいるとのこと。人的資本経営の一環としても、非常に理にかなった取り組みだと感... -
中小企業のホールディングス化——「組織再編」を成長戦略に変える視点
近年、中小企業においても「ホールディングス化」を検討する動きが徐々に広がっています。かつては大企業や上場企業の専売特許と思われていたこの再編スキームですが、事業承継や新規事業への展開、組織の専門性向上を図る中小企業にとっても、有力な選択... -
人は変われるのか──企業再生の現場で問われ続ける「信じる力」「この人は変われるのか?」という問いと、経営のリアル
私はこれまで、いくつもの企業再生の現場に携わってきました。財務や事業構造の再設計だけでなく、経営トップの意思決定そのものに深く向き合う中で、常に自分に問いかけてきた言葉があります。 「この人は、変われるのか?」 企業再生の過程では、経営ト... -
AIを問いの伴走者に:無知の知を仕組みに変える経営の実装論
ソクラテスの有名な言葉に「無知の知」があります。自分が何も知らないということを自覚している、それゆえに学ぶことができる──という哲学的態度です。 現代において、この「無知の知」は精神論や教養として語られるだけでなく、極めて実務的な意味を持つ... -
取引先を「コラボ先」に変える――信頼を資本に変える中小企業経営
取引先という「前提」に疑問を持つ 経営者にとって取引先は、日々の事業運営に欠かせない存在です。仕入先、販売先、協力会社や外注先。これらの関係は会社の血流のようなものであり、どこかが途切れれば経営はたちまち支障をきたします。そのため、経営の... -
AI役員は中小企業経営の「勘と経験」をどう進化させるか――導入実務のステップと「認知限界を超える」可能性
先日、キリンホールディングスが「12の人格を持ったAI役員」を開発したとのニュースが報じられました。AIに人格を与え、経営会議に参加させるという発想は耳にするだけで強いインパクトがあります。「役員」という言葉の選び方も挑発的であり、同時に経営... -
価格は「声なき言葉」——二重価格が示す企業の姿
価格戦略という言葉を聞くと、多くの方は「需要と供給のバランス」や「収益最大化のための最適解」を思い浮かべるのではないでしょうか。経済学の教科書には、需要曲線と供給曲線の交点で均衡価格が決まる、と書かれています。経営の現場でも「コストに一... -
MBA実践録#17──ベンチャーキャピタル&ファイナンスーー不確実な未来を資金でつなぐ「攻めと守りの知恵」
ベンチャー企業にとって、資金調達は「成長のための燃料補給」です。ただし、燃料の種類や補給の仕方を誤ると、前に進むどころか足元から崩れてしまいます。 本稿では、MBA講義「ベンチャーキャピタル&ファイナンス」で得た知見を整理し、ベンチャーファ... -
補助金に振り回されない経営へ──AI時代における中小企業の補助金活用再考
「うちには補助金なんて関係ない」。「補助金を申請したら通ったけれど、実行が大変で逆に負担になった」。 中小企業の経営者と話していると、このような声を耳にすることは少なくありません。補助金は中小企業にとって重要な資金調達手段の一つであるにも... -
MBA実践録#16|サービスマネジメント──「期待」を設計し、「共創」で磨く
サービスは、完成品を手渡して終わりの世界ではありません。提供者と顧客が同じ時間と場を共有し、相互作用しながら価値を形づくっていく営みです。だからこそ「整えるべきもの」は、製品の仕様だけではなく、言葉、所作、タイミング、そして関係です。本...